リアルサイエンス?

動的周期表に限らない。
たとえば宇宙の話を考えたとき、多くの人は太陽系というと、太陽を中心に9つの惑星がぐるぐる回っている様子を思い描く。でも、普通は誌面スペースの都合上、各惑星半径に対して軌道距離を思い切り縮小して描いている。概念としてそれは今まで受け容れられてきたものではあるけど、ただ実際の太陽系ってそんなに密なものではない。
200億分の1スケールで考えると、太陽が直径およそ7cmのテニスボールくらい、地球は0.1mmの塵くらい。ところが、多くの教科書ではこのオーダーの惑星が数cm間隔で描かれていたりするのが間違いで、実際にはこのミニチュア太陽と地球は距離にしておよそ7.5m離れている。が、それを「実感」することはなかなか難しいし、教えてくれる人もいないから教科書が「誤りだ」と気づくこともできない。
いつしか教科書は絶対的で正しいものだという先入観ができあがり、そういった本物ではない「本物」を本物として受け容れて育っていくと、現実感に乏しい大人になってしまうんじゃないだろうか、自然科学に対して畏怖の念を抱くことなんてないんじゃないか、と危惧してしまう。すでに、水族館に鮭の切り身が泳いでいる、なんてのが冗談じゃなくなりつつある今。
動的周期表は、せっかく本物の写真を使っているんだから、本物の軌道(予想図)を描いてくれればよかったのだと思う。